ペットの避妊・去勢手術については賛否両論ありますが、人間とペットが生活を共にするにあたってはこの問題をよく理解することが重要です。
頭から否定せずに、よく考えてください。
ペットの避妊・去勢手術については賛否両論ありますが、人間とペットが生活を共にするにあたってはこの問題をよく理解することが重要です。
頭から否定せずに、よく考えてください。
犬や猫の雌には年に数回の発情期があり、雄は雌が発したフェロモンを嗅いで刺激されます。また、広範囲に影響するため、近所で発情した雌がいれば雄はソワソワしてしまいます。お散歩の途中ですれ違ったりすれば、ちょっとした騒ぎになることもあります。発情している犬や猫を単にがまんさせるのでは、体にストレスをかけるだけです。
いま飼っている以上の頭数は育てられない」「子犬や子猫が生まれても、もらい手がない」「無闇なマーキングや攻撃性に困っている」というのなら、避妊・去勢手術を考えてください。
避妊・去勢手術をしたくない飼い主さんが理由として挙げるのが、「自然のままにしてやりたい」ということですが、このようなケースは本当に「自然」なのでしょうか?「交尾したい」という体の要求(動物的な本能)を満たしてやることはせず、交尾できないことのストレスから発生する問題行動、吠える、攻撃的になる、脱走するなどの行動をしつけで我慢させるのは、自然なことでしょうか?
だからと言って、毎回交尾させて仔犬や仔猫を産ませるというのは、一般の飼い主さん宅では実現的ではありません。無計画な出産で仔犬や仔猫がたくさん生まれることは、殺処分ゼロを目指す現在の社会において問題にもなりえます。
普段の診察でも、去勢していない男の子の行動はどこか神経質で猛々しさがあると感じることがあります。とくに雄であるがゆえの吠え、侵入者(来客)に対する吠えや噛みつきなどの攻撃性で悩んでいる場合には、去勢するメリットは大きいと感じます。少なくとも、なわばりを意識したマーキングについては、劇的に減ります。去勢手術を行うことにより、雄であることが原因で出ている問題行動は、目にみえて改善するのです。
女の子における避妊手術のメリットは、行動変化としてはあまりありませんが、病気に関しては乳腺腫瘍(ヒートの回数によって予防率は変化します)や子宮蓄膿症などのハイリスクな病気を予防する効果があります。
デメリットとしては、雄雌共に、入院や麻酔、痛みなどのストレスがかかります。手術におけるリスクは低いものの、年齢や個体差、基礎疾患の有無によりリスクは増大します。
また、個体によりますが、性的なストレスから解放されることにより、術後に太りやすくなる子がいます。適切な食事管理と日々の運動を心掛けることにより、肥満リスクは解消できます。
当院での全身麻酔は麻酔薬の投薬量を減らすためにカクテル療法を取り入れています。術後にはほとんどお薬が残らないように個体に応じて投薬量を決定していくので日帰り手術を可能としています。また麻酔管理により、高齢な子でも安全に全身麻酔をおこなっています。
また、早くお家に帰ってくつろぐことで、入院のストレスを減らすことができ、落ち着いた気持ちで回復に専念できます。(状況により、入院していただく場合もあります。)
避妊手術の場合、おなかを開け、子宮と卵巣を取り除く手術を行います。抜糸までの間、傷口が気になって、なめたりする場合があります。放置しておくと、傷の治りが悪くなるだけでなく、自分で抜糸し傷口が開くことがあります。特に猫ちゃんはそのようなケースが多いです。
一般的にはエリザベスカラーなどの保護具をつけて、傷口をなめることを防ぎますが、猫ちゃんなどの場合、半狂乱になって暴れる子も多いです。当院ではこの問題点を解決するために、術後服を提案させてもらっています。写真のように洋服を着せることにより、傷口を直接なめることはできなくなります。
ワンちゃんはサイズが様々のため、大型犬の場合は取り寄せ対応になります。
当院では先制鎮痛(手術前鎮痛)という手法をとって痛み対策をとっています。麻酔からの覚醒も速やかで、術後も平気な顔をしている子は多いです。また術後も、鎮痛剤を希望される方には鎮痛剤を処方しています。
乳腺腫瘍(癌)や子宮蓄膿症など避妊・去勢手術をせずにいるとかかりやすくなる病気は、ほとんどが年をとってから発症します。体力が落ち、ぐったりしている時に治療や手術を行うという事はたくさんのリスクを伴います。避妊・去勢手術をきっちりと理解し、わが子にとって最善の方法を選択してあげてください。
詳しくは当院まで、ご連絡ください。